ORβIT|音楽に注ぎ込む情熱とこだわり

ORβITが4月21日に1stミニアルバム「Enchant」をリリースした。

ORβITはYUGO、SHUNYA、TOMO、JUNE、YOONDONG、HEECHO、YOUNGHOONの7名による日韓合同ボーイズグループ。昨年2月に結成され、新型コロナウイルス感染症の影響で日本と韓国に分かれての活動を余儀なくされているが、工夫を凝らしてレコーディングやミュージックビデオの撮影を行い、11月には1stフルアルバム「00」を自主レーベル?Present Labelから発表した。メンバー主導で制作している作品と、クオリティの高いパフォーマンスは多くのファンから熱烈な支持を受けている。

1stミニアルバム「Enchant」には、メンバーが作詞を手がけた楽曲を中心に全5曲を収録。「時に強い『愛』や『想い』は人の心を奪い、そして魔法をかける」というコピーが付けられたコンセプチュアルな1枚は、リスナーを美しく幻想的な世界観へと誘うだろう。音楽ナタリーではミニアルバムのリリースを記念して、日本にいるYUGO、SHUNYA、JUNE、TOMOと韓国にいるYOONDONG、YOUNGHOON、HEECHOの7人をリモートでつなぎ、インタビューを行った。困難な状況の中でも力強く前進していく彼らの、音楽に対する情熱や誠実さを感じ取ってほしい。

取材?文 / 中川麻梨花

悪いことばかりの1年ではなかった

──グループ始動から1年が経ちました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で韓国組と日本組が集まれず、なかなか大変な1年だったかと思いますが、1年やってきた所感としてはいかがでしょうか?

SHUNYA 7人で一緒にいられる時間がほとんどなかったです。でも、逆にそういう状況だからこそ気付いたこと、できたこともいっぱいあったなって。例えばデビュー曲「UNIVERSE」のミュージックビデオは、日韓で分かれて1つの作品を撮りました。みんなで集まれないのはつらかったけど、7人そろわないからこそ、1つの作品に対してどういう見せ方をしていこうかと考えられたのはよかったです。

YUGO メンバーに会えないのは寂しいけど、離れている状況の中で1stアルバム「00」も1stミニアルバム「Enchant」も自分たちが納得できるいい作品を作れたと思います。

JUNE ファンの皆さんに届けたいこと、やるべきことがいっぱいあるのに、こういう状況でなかなかできなくて葛藤やもどかしさを感じていた時期も長くて。順風満帆な1年目ではなかったというのが正直な気持ちですけど、メンバーや会社の人たちと話し合って、できることを今までやってきたので、これからも自分たちの力でもっとスムーズにやっていけたらいいなと思っています。

TOMO 正直、僕たちはスタートのタイミングがどうしても悪かったんですよね。

──2月9日にグループ始動を発表した直後に新型コロナウイルスが広がり、世界が一変してしまいました。

TOMO 1年目の大切な時期に、メンバーが集まれなくなってしまって……でも、この状況を経験したことは、絶対に今後に生きると思います。僕たちが強くなってステップアップしていくためには大切な期間だったんじゃないかなって、ポジティブに考えたいですね。

YOUNGHOON 日本組が話す通り、新しい挑戦もできたし、強くなったのも事実だし、そんなに悪いことばかりの1年ではなかったんです。メンバーに会えないのは悲しかったですが、僕も前向きに考えています。

YOONDONG

YOONDONG 離れていても僕たちみんなの“音楽を考える心”が集まって、こうやってMVやアルバムを発表することができて、「ああ、本当に情熱が大切だな」と思って。会えるようになったら、メンバーと一緒にやりたい活動がいっぱいあります。

──リーダーのHEECHOさんはいかがですか?

HEECHO 僕は正直に言うと、もどかしいですね。それ以外の感情はなくて。できる限りがんばってアルバムを作ったけど、7人一緒だったらこれよりももっといいものを作れるという自信があったので。がんばったけど、こういう状況じゃなかったらもっとよかった。悔しい気持ちしかないです。

──11月頃に1回だけ、日本で集まれたんですよね。

HEECHO やっぱり一緒にいるだけでもうれしかったし、楽しかったです。「これからこういうことをやろう」「来週はこれをやるね」といろいろ直接話せて、一緒ならこれからもっといいものを出せると思いました。今は何よりも7人そろいたいです。

──そのときにミニアルバムの制作の話もしたんですか?

SHUNYA そうですね。そこで主に話し合いました。

HEECHO ストックしていたデモを韓国から持ってきたので、それをみんなで聴きながら、「この曲をミニアルバムに入れよう」と5曲を選びました。「この曲でこういう表現をしよう」ということも話し合って。一緒にいたら、そういうことが一気にできるんです。

──「UNIVERSE」のダンスパフォーマンス映像もそのタイミングで撮ったんですか?

HEECHO はい。今もまだファンの皆さんに見せられていない振り付けがいっぱいあるので、それも本当にもったいなくて。早く見てもらいたいと思っています。

7人で納得できる音楽を

──「00」が13曲入りのフルアルバム、「Enchant」が5曲入りのミニアルバムということで、もうフルセットでライブができるくらい楽曲がそろっていますが、曲作りは絶え間なく行っているんですか?

SHUNYA そうですね。7人全員の中に「次はこんな曲をやりたい」という気持ちがあるので、アルバムをリリースしたら次の作品、という感じでずっと曲を作り続けています。

──そもそもグループを始動させる段階では、音楽性やコンセプトの方向性についてどういう話し合いをしたんでしょうか?

SHUNYA 具体的に「こういう音楽をやろう」という話はしていなくて。ただ1つ、「自分たちがやりたい曲をやって、7人で納得できる音楽を作っていこう」という気持ちを軸にして進んできました。メンバー同士で曲の好みは違うので、時にはぶつかったりすることもあるんですけどね。

HEECHO 「メンバーがこだわる部分をはっきり表現しよう」という。音楽を作るときには僕たちが直接作曲家さんといろいろ話して?仕上げていくという感じですね。本当に僕たちがこだわる部分を表現することが大事だと思っています。

JUNE 加えて、ほかのグループが簡単に真似できないような感じにしようというのも意識していますね。

──ORβITは作品コンセプトの考案から楽曲制作のディレクション、ジャケット制作までメンバー自身で行っていますが、やはりセルプロデュースというところにやりがいや面白みを感じていますか?

JUNE そこが一番楽しいというか、ORβITとして活動していてよかったなと思う部分ではありますね。こんなに深く楽曲に携われる機会があるのがうれしい。今はそれが当たり前になっていますけど、幸せなことだと思います。

HEECHO

HEECHO でも、僕としてはただやるべきことをやっているだけで、セルフプロデュースというのは特に意識していなくて。僕らの音楽をやるにあたって、僕らが曲のことを考えるのは普通のことなので、セルフプロデュースという打ち出し方をするのは、なんだか自慢してるみたいで、ちょっと恥ずかしいというか……。アーティストが音楽を作るのは当たり前のことだから、あえてそういうところを自分たちが表に出すのはちょっと違うかなという気がします。

──なるほど。ごく自然なこととして。

JUNE でも、アルバムのジャケットを作れるメンバーがいるというのは、グループの強みかもしれません。

──ジャケットやホームページなど、デザイン周りはSHUNYAさんが担当されていますが、もともとグラフィック制作の経験はあったんですか?

SHUNYA 美術の勉強はしていたんですけど、グラフィックに関してはまったくやったことがなかったです。去年ファンクラブを設立したときに、メンバーがそれぞれ興味のあるコンテンツを配信していくことになって、僕はグラフィックに興味があったから、挑戦してファンクラブコンテンツで出していこうと思って。でも、その延長線上で「00」をリリースするときに「ジャケットを作ってみようか」ということになって、そこからは死に物狂いですね。知り合いのデザイナーさんに「ここをこうしたいんですけど、どうやってやればいいんですか?」と聞いたり、ネットで調べたり。

──「00」ではトレイラーの1曲1曲にイメージが添えられていましたが、あのグラフィックも全部SHUNYAさんが作ったんですよね?

SHUNYA そうです。離れていて7人そろうことができなかったから、トレイラー用のメンバーの写真がなくて。そんな中でどうやってアルバムの世界観を見せていけるんだろうと思ったときに、メンバーが書いた歌詞と曲の感じをもとにグラフィックを作ってみました。あれもかなり必死でしたね。

JUNE 本当にすごいよ。

TOMO 信頼できるデザイナーさんみたいな感じです。

SHUNYA (笑)。メンバーそれぞれ得意なことが違うんです。JUNEくんはラップとか、そういうところでメンバーの長所を生かしつつ活動しているのがORβITなのかなと思います。

──DTMソフトを使えるメンバーも多いんですよね?

HEECHO ほぼ全員かな?

JUNE レコーディングのときにそういう経験が生きたりすることもあるので、やっていて損はないというか。

HEECHO 僕たちはみんな詞を書くから、譜割りを説明するために自分たちでガイドを作っていて。だから自然とソフトに触れる機会も多いんです。

大人っぽい一面を見せていこう

──前作「00」はフルアルバムということもありバラエティ豊かな作品でしたが、新作「Enchant」はとてもコンセプチュアルな作品になりました。「花」「果実」「楽園」といった共通した世界観を持つワードが1枚を通して入っていて、かつ、それぞれの曲から異なる形の“強い愛”を感じます。

SHUNYA 前作は「ORβITはこういうグループです」という発表会のようなアルバムだったので、いろんな雰囲気の曲が入っていたんですけど、今回は“植物”というコンセプトに沿ってミニアルバムを作っていきました。愛を歌っていながら、歌詞にエッジが効いているというか、エグみのある世界感にもなっているので、けっこう攻めた作品なんじゃないかなと思います。

──植物というコンセプトはどのように決まったんでしょうか?

SHUNYA 次のリリースタイミングが春ということは決まっていたので、季節感を意識して、植物がいいんじゃないかなという話になって。植物ってファンシーでチャーミングなイメージもあると思うんですよ。でも、僕たちはそこじゃなくて、植物の中にあるセクシーな部分というか、ORβITの大人っぽい一面を見せていこうというのが根本にありました。

HEECHO コンセプトが決まってからは、日本に持ってきたデモの中から、すぐに今の5曲を選びました。ビジュアルに関しては、僕は映画で見た印象的な植物の写真をSHUNYAに見せたり、SHUNYAはグラフィックを僕に見せてくれたりして、イメージを共有し合って。

SHUNYA 例えば、YOUNGHOONさんからは夜に花がライトで照らされてるような写真を見せてもらいました。そういうふうにみんなで話し合ってビジュアルを決めていきましたね。

ずっと信じてくれて待ってくれているファンの皆さんがいた

──1曲目の「極楽鳥花~Bird of paradise~」の作詞クレジットにはYOUNGHOONさん、YOONDONGさん、JUNEさんの3人のお名前が並んでいます。曲を作詞するメンバーは立候補で決めているんでしょうか?

SHUNYA やりたい人が挙手することが多いですかね。

TOMO 「この曲はこの人が合うと思う」というメンバーからの推薦もあったと思います。

JUNE この曲に関してはメインの歌詞をYOUNGHOONくん、ラップパートを僕とYOONDONGくんが書いています。

──幻想的で美しいチルトラップ的なトラックと、意思のはっきりしている歌詞が印象的でした。出だしの「Twilight 照らし出す 7つのsilhouette」というところからして、ORβIT自身のことを歌ったメッセージソングのように思えたのですが、どういうイメージで作りましたか?

YOUNGHOON

YOUNGHOON 歌詞全体の意味は……僕たちは今、7人そろうことができないし、僕たちの周りにいろんな噂も立っているし、そんな悪い環境だったんですが、僕たちのことをずっと信じてくれて待ってくれているファンの皆さんがいました。そんなファンの皆さんと一緒に、僕たちはやりたいことをやりたいです。これまでたくさん曲を作ってきましたが、こんな歌詞の内容の曲は今までなかったと思って。僕たちのアイデンティティを示すような曲が必要だと思ったし、こういうことを書きたかったんです。

JUNE 僕とYOONDONGくんはYOUNGHOONくんが書いた歌詞に合わせて、ラップのリリックを書いていきました。

──ORβITでYOONDONGさんが作詞するのは初めてだと思いますが、いかがでしたか?

YOONDONG 今回は僕が書いたラップで歌いたいなと思っていたんです。僕のメッセージを入れたかった。書き始めたときは難しかったんですけど、JUNEとずっと連絡しながら細かい日本語を直してもらって、がんばってラップメイキングしました。自分で書いた歌詞をいい曲に乗せられて、うれしかったです。

JUNE もともと「00」のときからずっと、YOONDONGくんは「ラップの歌詞を書きたい」と言っていて。それが早めに実現できてよかった。クオリティもすごく高いし、次からYOONDONGくんのラップパートはYOONDONGくんが書くと思います。

YOONDONG がんばります!

──レコーディングは日本と韓国で分かれて行っていますが、どういうふうに歌うか事前に擦り合わせているんでしょうか?

JUNE 擦り合わせるというよりは、みんなそれぞれLogicとかで練習して、「ここはこういう感じで歌おう」と自分の表現を探っている感じですね。それで現場でディレクションを受けながら、一番いい形を追求しています。毎回すんなりとうまくいくわけではないんですけど、この曲は順調だったよね?

YUGO うん。スムーズだったと思います。

──メンバーの歌に関して、進化していると感じることはありますか?

JUNE SHUNYAの歌がうまくなりましたね。

SHUNYA そうかな?

JUNE うん。自分の得意な音域がわかったんだと思う。

SHUNYA 最初に「Lazurite」(1stフルアルバム「00」収録)をレコーディングしたときはそれがわからなくて苦労したんですけど、今は自分の歌い方を理解できているのかなとは思う。HEECHOさんがメンバーの歌い方を気にしてアドバイスしてくれるので、ちょくちょく電話しながら、歌を聴いてもらっています。そんな中で自分の練習の仕方というのが見つかってきたので、それでけっこう上達できたのかなって。

──YUGOさんの少年性のあるピュアな歌声は、ORβITの美しくて神秘的な世界観にとても合っていますよね。

SHUNYA YUGOの歌声は変幻自在なんですよ。

YUGO 曲によって表現方法や声の出し方を「こっちでいこうかな」ってHEECHOに相談しながら考えています。

TOMO YUGOの声は特徴的で、本当に素晴らしいです。楽曲に対してしっかりと自分の見解を持ってレコーディングに入っているし。

JUNE 声に感情を乗せるのがうまいよね。

SHUNYA 僕はYOONDONGさんの歌声も好きです。YOONDONGさんが日本にいたときに一緒にボーカルの練習をしていて。YOONDONGさんってラップパートを歌うことが多いんですけど、バラードもすごくいいんですよね。